Sunday, December 21, 2014

羅生門な世界


黒澤明監督の『羅生門』
度々黒沢映画を引き合いに出してますが、またもです。

ストーリーはというと。

平安時代に起きた殺人事件で、検非違使(けびいし=当時の警察または裁判所といったところでしょうか。)で尋問を受けます。
様々な目撃者が自分の都合にあわせてそれぞれ違った証言をするために、結局何が事実なんだかわけわからなくなって迷宮入り、といった展開。
要はこの世はご都合主義。事実なんて利害関係によって造られるもの。

例えば歴史解釈なんて国が違えばもちろんのこと、時の為政者の都合や立場によって解釈が全く違ったりするものです。なにが本当なのかわかったもんじゃありません。そんな現象を「羅生門な」と自分は勝手に呼んでます。

今朝沖縄のFENラジオ(米軍放送)を聞いていたら面白い一幕がありました。

嘉手納基地ゲート前で行なわれる清掃サークルの話。

米軍から一人、そして通訳の米国人、それからウチナーンチュ(沖縄人)のトークでした。
米軍と沖縄の住民が、一緒に毎週日曜の朝ゲート付近で清掃活動をしてるので「こんなことやってるサークルだからみんな参加しましょうねぇ」と ウチナーンチュ。

「それではこのサークルがどうして始まったのか説明してください」と通訳。

「これはですね。以前あった(基地への)抵抗運動で赤いテープを基地フェンスに貼付けるというのが広まったわけですが、それがゴミとなって環境破壊につながるということで、フェイスブックなどで呼びかけて皆で掃除しましょうということになったのがはじまりでした。」

ここでカーステのボリュームアップ。

アメリカ人通訳者の焦りの色がスピーカー越しに伝わって来ました。耳をダンボにして聞いていると。
ちょっと戸惑った様子で
「抵抗運動」の訳を「Vandalism(破壊行為)」と通訳。
この訳の単語選ぶとしたら「ResistanceとかProtest」だよなあ。やっぱ予想通り。
これを聞いた米軍の方々はどう解釈するのでしょう。

「沖縄住民の破壊行為」→「破壊行為で生じたゴミ片付け」→「なんで汚されたのに我々が掃除?」→「罪滅ぼしで破壊者(沖縄人)が手伝う」
と納得、といった具合でしょうか。

まあ米軍にしてみれば住民の「反基地運動」は「破壊行為」なんでしょうけど。ウチナーンチュにしたって同じで「(基地)反対派」と「賛成派」は逆の意見なわけで。
これぞまさに「羅生門な」のお手本です。

最近ではネットで様々な「真実」が入り乱れていて、人は立ち場というか「立ち位置」を探すのが一苦労です。
「ウクライナ問題」しかり「北朝鮮問題」しかりです。身近な問題では夫の「浮気問題」なんかも入るんでしょうね。
国や人種や宗教が異なれば、意見や解釈は違って来ます。

真実?はぁ?
「立場が変わればお互い勝手なこと言う」
これぞ真実。当たってますかね。

今はネットで「羅生門な」世の中がよく見える時代です。いまいちど、常識という色眼鏡を外して冷めた目で世界を見ては如何でしょうか?
今まで当たり前のように見えていた世界が崩れます。

ウルトラマンのような達観した目。
もちろんウルトラマンの場合は、人種、国どころか地球を超えて宇宙まで行っちゃってますが。

気合い入れ過ぎたらぶっ飛んでUFOなんかも見えちゃうかもしれません。

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