Monday, November 18, 2013

私は、アート(パニック)発作を起こしました。


 ケン+ジュリア ヨネタニのシンガポールビエンナーレ2013出展作品「クリスタルパレス」が恐ろしくて、パニック発作を起こしたという記事が、‘I had an art(panic) attack.’「私は、アート(パニック)発作を起こしました。」と題して地元ストレーツタイムズ紙に載りました。

 今までこの作品については、様々な記事が書かれましたが、これほど興味深く鑑賞者の心理的部分を露骨に表現してくれたものは、ありませんでした。


内容は以下に簡単にまとめて翻訳しました。

  筆者は、シンガポールビエンナーレ会場にて目にした作品「クリスタルパレス」が、微量なウランを含有するウランガラス(*ブラックライトを照射すると緑蛍光色に発光する。世界的にコレクターは多く、ネットなどでも簡単に入手可能。)を使用していることを知り、心理的にパニックに陥ります。そして、同時期に体調を崩したことが、この作品のせいではないかと猜疑心を抱き始めました。会場のシンガポール国立博物館で、作品を鑑賞した後の数日間は、自分は死ぬのではないかと本気で思い詰めたそうです。

 当国立博物館に問い合わせたところ、作品の安全性は、専門家(National Environment Agency国立環境調査機関)による審査をクリアし、公の展示は問題ないと説明されます。

 それでも疑いが晴れない筆者は、急患で病院に駆け込み、血液検査まで受けました。診断の結果は、ウィルスによるもの。医者に作品とは何ら関係ないと一蹴されてしまいます。

 筆者は、作品を観た後に、自身の放射能に対する恐怖心が刺激され、妄想が拡大していった経緯を赤裸々に綴っています。

 そして最後に、こう述べて締めくくります。

「しかしながら、この作品の凄さを称賛せざるを得ません。つまりそれは、鑑賞者から作品への親近感を引き剥がすという、ほとんどの美術作品において、望んでも成しえない「凄み」なのです。それは、美とパニック(発作障害)の狭間を絶妙に歩くことといえるでしょう。結局のところ、私は、その作品によって変化をもたらされました。つまり、そういったことが、多くの美術作品の一つ一つに望まれることではないでしょうか。」

 実に真のこもったすばらしい記事でした。記者のクララさんには、誠に感謝です。
それにしても、ここまで恐れおののいて頂けるとは。
 こんなこと言ってはなんですが、作った方としては、彼女のような反応に、作品に込めた思惑が一つ成功したような気がして、二人ほくそ笑んでおります。
 

 
 

 ありがとうございました。



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