Monday, November 18, 2013

シンガポールビエンナーレ2013に「クリスタルパレス」

 ところで、
 ケン+ジュリア ヨネタニのシンガポールビエンナーレ2013への出展作品「クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会」とはなんなのでしょうか?
という人のために、簡単に説明いたします。

 クリスタルパレス(水晶宮)とは、世界史に強い方はご存知かと思いますが、1851年イギリスはロンドンのハイドパークに建てられた、全面ガラス張りの巨大な宮殿です。
 その大英帝国が誇る巨大な建造物は、第一回万国産業博覧会の会場として使われました。
こんなかんじ。
 
 そのころのイギリスでは、軽工業中心の第一次産業革命から重工業中心の第二次産業革命への移行期。 各国が威信をかけて、国力を競い合う場となりました。今でも万博といえば、オリンピックと肩を並べるほどの大イベントですが、すでに19世紀の一大人気イベントとなっていたそうです。
 当時は、カールマルクスなんかが、資本家のおバカなイベントだと酷評したらしいですね。
 
 そして時は過ぎて1936年。会場となったそのクリスタルパレスは、不運にも火事で焼失してしまいます。
 
全焼です。これってどっかで見たような。
 
みたいな。
 建設された当時1851年は、大英帝国繁栄と栄光の頂点にありましたが、その後イギリスの繁栄は下降線をたどり、80年後には、その超大国の地位を新興国アメリカに完全に奪われていました。クリスタルパレスの焼失は、大英帝国の没落の象徴として歴史に刻まれたそうです。
 後のイギリス首相となったウィンストンチャーチルは、「これは、ひとつの時代の終わりである。」とコメントしたそうです。
 
 リサーチはざっとこんな感じで、制作開始です。
「派手にいきましょ。はでに」
 
 
 ウランガラスのゴージャスなシャンデリア。
 世界の原子力発電保有国、全部で31カ国分として、シャンデリアも31個。その一つ一つに国名を付けました。
 題して、「クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会」

 制作年数は、2年もかかりました。えらいつかれました。 金かかりました。
というわけで、
「もうこれ以上作りたくはない!」
とお互いの意見が強く一致しましたが、無情にも世界情勢は、私たちに更なるシャンデリアの制作を促しているようです。
 
中央の一番大きな2メートル級のシャンデリアは、原子炉数、出力ともに断トツ一位の「U.S.A.」と名付けました。
シンガポールビエンナーレ2013、シンガポール国立博物館の地下一階の会場に展示中です。
 
 
 ちなみに、ウランガラスってご存知でしょうか?実は、私たちもそんなものがあるなんて知りませんでした。
ガラスの中に、微量なウランが含まれていて、紫外線ライト(ブラックライト)を照射すると、妖しく緑蛍光色に発光するという珍しいガラスです。
世界的にコレクターも多く、その発光色が美しいことから、19世紀終わりごろから20世紀中ごろまで、結構生産していたようです。
 しかしながら、世界各国が核兵器開発競争の時代に入るとともに、評判が悪くなって生産が減少したようです。ヴィンテージアイテムは、値段も張りますが、少なからずいまだ生産しているところもあって、ネットなんかで売買されています。 興味があったら、ご自分で調べてみることをおススメします。 ちなみに専門家による一般展示のための安全審査はしっかりとパスしてますよ。
 
 
 




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