Friday, October 31, 2014

終わらぬ延命工作

アメリカの量的緩和制作は、予定通り今月末でなんとか終了することに決めたようですね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NE7X1E6VDKI001.html

でも同時にというか、代わりにというか日銀が追加金融緩和政策を発表。「資金供給量を年60兆円から70兆円増やすとしてきたが、年80兆円に増額」
国債に加えて株ETFとか不動産なんかにも賭けるらしいです。
日銀の異次元緩和は、2年の予定で今年末に限度額270兆円に達する予定じゃなかったんでしたっけ?
なんだか、額が大きすぎて一般庶民の想像力を超えています。まさにこの次元を超えた異次元の世界。
ぶっ飛んでます。

海外市場関係者はこの黒田総裁の太っ腹ぶりを
「サプライズ」
と評しました。
海外では家族友人などがナイショで誕生日パーティーを準備しておいて、本人が登場したときに唐突に「サプラーイズ!」とやる、あれです。

またさらにGPIF(年金運用)は、その資金運用比率を変えて株の方にどっぷりと賭けることに決めたようです。
国内株を現行の12%から25%に、外国証券なんか株式と債券合わせて現行23%だったのが40%に。
外国っていうけど特に米国のことなんでしょうね。
これはまさにジャイアンに対するのび太の貢ぎ物。

ここ数日間における安倍政権の大臣スキャンダルうんぬんのドタバタ劇は、そのような緊張した世界経済状況を背景に生じたことじゃないかと勘ぐってしまうのは自分だけでしょうか。おかげで、今日の日経は一日でなんと800円近くも上げたそうで。市場は盛り上がってます。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0IK05420141031

その反面、切羽詰まった状況であるとクールに受けとめてもいるようです。「いよいよ政府と日銀が一丸となって、総力戦の構え」をみせているそうですが。 海外ではアベノミクスのことを、その気合いの入りっぷりが自殺行為じみているということで「カミカゼ エコノミクス」などと称されているそうです。
「死して護国の鬼と成りぬ」

ヨーロッパも緩和政策やらないなんて言ってましたが、だんだん日銀みたいになってきましたし、やめたアメリカの肩代わりに、引き続き世界はますますお金を刷り続けるようです。

こんな延命策はいつまで続けられるのでしょうね。
もう余計な心配してもしょうがないし、景気付けにデカプといっしょにハミるしかないね。


Sunday, October 26, 2014

黒沢明監督作品「夢」上映会のお知らせ

来る12月2日午後8時30分からパリ郊外ポントワーズのUtopia Saint-Ouenという映画館において黒澤明監督の「夢」の上映会を開催致します。
http://www.cinemas-utopia.org/saintouen/index.php?id=2477&mode=film


これは前回紹介しましたAbbaye de Maubuissonにおける我々の個展「Un autre rêve(もうひとつの夢)」のために美術館が企画した特別上映会です。ちょうどパリで日本映画祭「Kinotayo 2014」が開催されることを踏まえて、それに合わせて催す予定です。美術館側から、私たちの作品と関係のある映画を一つ推薦してほしいという依頼を受け、即返答したのが黒沢監督の「夢」でした。

上述した我々の展示会のタイトルも、何を隠そう黒沢監督の「夢」を意識したものです。「こんな夢をみた」で始まる映画も実は、同じ書き出しで始まる夏目漱石の「夢十夜」を真似たようですが。

我々の作品は、今現在の自分たちのメランコリア(憂鬱)さらには未来に対する漠然とした不安が制作へのモチベーションとなっているわけで、黒沢監督作品のように未来を予見するようなものでありたいと常日頃から願っておりました。


黒沢監督作品のすごみは、社会的リアリティーに対する絶妙な斬り込み方はもちろんですが、それよりも自分が注目したいところは、監督のまるで未来を予見したかのような「第六感」です。
オーストラリアの先住民やアメリカ先住民らの先祖代々伝わる「口伝」の中に、現世を予見したかのような内容のものが見受けられるのも、そんな「シックスセンス」と言われる能力なのでしょう。つまり理性を超えた「離れ技」です。

監督作品のなかで「生きものの記録」というのも捨て難かったのですが、詩的な作風であり、また今となっては原発事故による人々の混乱の様子を実にリアルに描いたといえる「赤富士」(映画「夢」に含まれる短編映画の一つ)を、これを期にどうしても上映したかったので「夢」にしました。

あとこれは蛇足ですが、というよりもかなり重要なことなのかもしれません。今になって気付きましたが、奇妙な偶然がありました。
「夢」は8つの短編で構成されていますが、その一つ第5章の「鴉(カラス)」で描かれたのは、20世紀の印象派巨匠ヴァンゴッホ。
そんなゴッホが、なんと我々の会場にほど近いオーヴェール・シュル・オワーズというところで晩年を過ごしたそうです。 
なんという偶然!
絵が売れず最後までド貧乏だったそうです。その点に関しては、我々も偶然を飛び越えて親近感さえ感じてしまいますが。

内容は「黒沢監督本人が夢のなかでゴッホの絵を観ていると、いつしか絵のなかに入っていた」という風変わりなストーリー。
寺尾聡演じる絵の中に入り込んでしまった監督が「ここはどこ?」と思っていると、景色はゴッホ晩年の作「カラスのいる麦畑」
ゴッホ厚塗り絵の具で描かれた風景がそのまま映像と化します。
「カラスのいる麦畑」ヴァンゴッホ 1890年作

「夢ー『鴉』」黒澤明 1990年作

実はこの「カラスのいる麦畑」は今もオーヴェール・シュル・オワーズに残る風景となっているそうです。滞在中ぜひ訪ねてみたいと思います。
「うーむ。やはり黒沢監督だけではなくて、ゴッホにも呼ばれてしまったのか」などとまたも勝手に思いを巡らせています。

とにかく偶然が多いことはいいことです。経験則から言って偶然が重なってくればくるほど、なぜか万事上手く行きますから。

黒沢作品のあの時代と国を超えた感動を、我々の作品とともにパリジャンおよびパリジェンヌにも是非じっくりと味わって頂きましょう。

Thursday, October 23, 2014

パリ到着

ひさしぶりのパリ シャルルドゴール空港に到着。
朝の5時半というのに美術館ディレクター自ら出迎えに来て頂きました。誠に恐縮です。フランス語で感謝の意を伝えたかった。

時差ボケ+不眠の状態で、即美術館直行。
ボケた頭でスタッフに挨拶。激濃コーヒを頂き、むりやり頭に血が上ったところで今後のスケジュール説明と展示会場見学。さらにこの歴史的建造物についての講義。まるで夢の中。この巨大な石造りの修道院は12世紀当時の王族によって建てられた由緒ある建物です。

一階がかつての修道院で部屋が3つに分かれています。部屋は豪華でとにかく広い。
ある部屋の床下には王族たちのご遺体が約15体ほど埋蔵されていたそうです。今は全て掘り出されてどこかの研究所にあるとのことですが、罰が当たらないといいのですが。なぜか自分たちはこの方々に呼ばれてしまったのではないかと感じてしまいましたが。とにかく我々の作品(塩のインスタレーション)でお清めしたいと思います。

ちなみにここはクイーンが建てた教会で、大きさは今の3倍程度ありました。大聖堂の部分は数百年前に破壊されてしまったそうで、かつての豪華な建築を思わせる崩れかかった巨大な石柱だけが芝生の上に残っていました。



入り口の石壁にはわれわれの紹介が。フランス語でこれからこんな人達が展示会やるのでヨロシクというようなことが書かれてあるそうです。
 部屋には輸送した我々の作品が既に届いてました。
 これから約1ヶ月、この空間をめいっぱい変えます。11月25日オープニング。乞うご期待。

Monday, October 13, 2014

世界経済の終わり


昨年末あたりから今か今かとその歴史的記念すべき日を待ちわびていましたが、そろそろなのでしょうか。エボラもヤバそうですし、今度こそは本当に来るんじゃないかと予感してます。

今朝のウォールストリートジャーナルになんとも恐ろしい見出しが。「英米金融当局が13日に模擬演習大手破綻時の対応を確認

それに続いてこんな聞き捨てならない記事も「日米欧の大手銀、スワップ解約一時凍結で合意破綻の影響を限定

上の記事にもでてきたデリバティブなど、90年代以降激化した、いわゆる金融派生商品の大商いで大手投資銀行が大損こいて積み上げた世界規模の天文学的な借金は、いまや人類が返せる金額をとっくに超えてしまいました。今現在総額60兆ドルのようです。日本円にして約6000兆円。スーパーで値上がった2本200円のキュウリに唸っているわれわれ一般庶民の想像力では、まったく追いつきません。

どうせ返せっこない借金の解決策は実に簡単。察するところ「スーパーインフレでデフォルト、そして貨幣の紙くず化で事実上政府の借金帳消し」といったところでしょうね。つけは全部国民が負わされるんでしょうが。

今月10月一杯でリーマンショック以降とにかく金をばらまいてきた米国の量的緩和政策も終わりとなりだそうで、市場のボラティリティも盛り上がっているようです。

日銀とFRBはここ数年紙幣の増刷に躍起で、自国の国債やら株やらを買いまくり。末期癌患者にたいして抗がん剤打ちまくる延命作のような。マズいよなあとハラハラしてましたが。やはり。中央銀行の買いオペによって株と国債は暴騰してますが、逆に実体経済が落ち込んでますもんね

最近デカプ主演で話題になったマーティンスコセッシ監督の「The Wolf of Wall Street」は、この無節操なマネーマーケットを実にリアルにとらえた映画です。これを期にぜひみておくことをオススメします。ヤバすぎるマネーゲームの狂乱ぶりがしっかりと描かれています。





緩和政策終了ということでドル高になって来てますが、金価格は今年3月あたりから下落の一途を辿りました。ドル高を狙う(ドル崩壊を避けようと)大口インベスターがETFなんかで空売りを仕掛けていたことが濃厚な動きでしたが、そんなドル高維持も切羽詰まったころには、高騰したドルで底値をついた現物の金を買い戻すつもりなんでしょう。

そろそろ紙幣も紙くずになってしまうこと考えると、食料でも備蓄するかサバイバルできるように畑でも耕しておいた方がいいでしょうね。まあそんな時代に突入したら、アーティストなんて職業は成り立たないので、ファーマーでしょうね、やっぱり。